1.入れ歯の使用を始める平均年齢は?
入れ歯の使用を始める平均年齢は、一般的に60歳前後と考えられます。
しかし個人差がありますので、早ければ20代から、遅い場合は70歳を過ぎてから入れ歯の使用を始める方もいます。
特に歯周病やむし歯が進行すると、歯を失うリスクが高まり、入れ歯を必要とする方が多くなります。
入れ歯が必要になる年代ごとの主な要因は次のとおりです。
➀20代~40代
若年層でも、むし歯や事故により歯を失うことがあります。
特に前歯の欠損が目立つ場合は、見た目の美しさや噛む機能の回復のために入れ歯が選択肢の一つになります。
➁50代
50代になると、お口の中の根本的な問題(例えば、歯周病の進行)が顕著になってきます。
定期的な歯科健診と口腔ケアを行うことで、歯を守る努力が重要です。
➂60代以降
60代を過ぎると、さまざまな理由で歯を失う方が増え、入れ歯を必要とする方が多くなります。
食事や会話の支障を最小限に抑えるために、適切な入れ歯を選ぶことが重要です。
年齢に関わらず、歯を失った場合には入れ歯が一つの選択肢となります。
入れ歯が必要になる時期を遅らせるためには、日常的な口腔ケアと定期的な歯科検診が不可欠です。
2.若いうちから入れ歯が必要になる原因
年齢が若くても入れ歯が必要になる原因について、お伝えします。
➀アクシデントによる歯の損傷
年齢が若くても入れ歯が必要になる原因としてよく知られているのが、スポーツや交通事故、さらには喧嘩や転倒など、さまざまなアクシデントによる歯の損傷です。
これらの事故によって、歯をはじめとする口腔内の構造が大きく破壊された場合、機能と見た目の両方を向上させるために入れ歯を装着することがあります。
➁口腔がんの進行
口腔がんによって歯を失った場合は、がんの治療が終わった後に入れ歯を使用することで、日常生活での食事や会話をスムーズに行えるようになります。
➂先天性の歯の欠損
生まれつき歯の本数が少ない方もいらっしゃいます。欠損の本数や位置によっては、入れ歯で見た目や嚙み合わせをカバーすることが有効です。歯科医師と相談して最適な治療法を選択することが大切です。
➃歯周病
歯周病が進行すると、歯がぐらついたり、最悪の場合には歯が抜け落ちてしまい入れ歯が必要になることがあります。このため、歯周病の早期発見と適切な治療が重要です。
年齢が若くても入れ歯が必要になる原因を理解し、適切なケアを心がけることが重要です。
3.適切な定期検診の頻度<入れ歯にならないための予防対策
入れ歯にならないためには、歯周病を予防することが大切です。
歯周病は、原因となる細菌が歯肉に炎症を引き起こす病気で、放置すると歯を支える骨が溶け、最終的には歯が抜け落ちることがあります。
歯周病予防を含め、入れ歯にならないための予防対策には次のようなポイントがあります。
➀歯周病予防のために適切なブラッシングや歯間ケア
歯と歯肉の境にたまるプラークをしっかり除去することで、細菌の繁殖を抑えることができます。
また、毎日のデンタルフロスや歯間ブラシの使用も、歯の間の汚れや細菌を減らす助けとなります。
適切なケアを行うことで、入れ歯になるリスクを低減できます。
➁定期検診を通じた早期発見
口腔内の状況を定期的にチェックすることで、歯周病や虫歯の早期発見につながります。
また、歯科医師や歯科衛生士から指導を受けることで、自分が正しいケアを行っているかどうかを確認することができます。
➂歯の治療や継続的なケア
定期検診で発見された歯周病や虫歯を早期に治療し継続的にケアをすることで、自分の歯の寿命を延ばすことができます。
➃禁煙と健康な食生活
喫煙をされている方は、歯周病のリスクが高まるため、禁煙の検討もおすすめします。
さらに、健康な食生活を送ることで、口腔内環境のバランスを整え、歯を守りましょう。
4.入れ歯の使用を始める際のポイント
すでに失っている歯がある場合、入れ歯を使用することで、咀嚼能力を向上させ、栄養摂取やコミュニケーションにもプラスの効果が期待できますが、快適に使用するためには、次のポイントを押さえた使い方やケアが大切です。
➀自分に合った入れ歯の選択
歯科医師の診断を受け、お口の状況を把握して最適なタイプの入れ歯を選択することが大切です。
様々な材質の入れ歯がありますので、歯科医師と相談しご自身に合うものを選びましょう。
➁入れ歯の適切な手入れ
入れ歯は汚れが付着しやすいため、1日に2~3回、ブラシで綺麗にしましょう。
夜間は入れ歯を外し、入れ歯洗浄剤に一晩漬けておくことで、口腔内や入れ歯に付着した細菌の繁殖を防ぎます。
入れ歯を使用していても、残っている自分の歯を守るために、口腔ケアに努めましょう。
➂歯科医院でのメンテナンス
入れ歯を使用している最中に違和感がある場合には、早めに歯科医院を受診していただくことが大切です。
違和感があると無理な力がかかり、入れ歯が壊れたり口腔内に炎症などのトラブルを引き起こすことがあります。
定期的に歯科医院で調整し、良好なフィット感を維持することも重要です。
適切なケアと丁寧な調整を行うことで、入れ歯をより快適に使用することができます。
お口の健康を守るために、疑問や不安があれば遠慮なくご相談ください。
監修:
見﨑 徹
経歴:
日本大学歯学部(昭和50年卒)
日本大学大学院歯学研究科修了(口腔外科学専攻)
日本大学歯学部口腔外科学教室
日本大学歯学部歯科麻酔学講座 所属
国立がんセンター麻酔科 所属
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院麻酔科 所属
日本大学 歯学部歯科麻酔学 准教授(2016年3月退任)
日本大学歯学部付属歯科病院歯科麻酔科 科長(2016年3月退任)